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ミシェル・ブラスのおいしい秘密、世界一のシェフと洞爺の大地

寒い冬が過ぎ、ようやく洞爺でも春が芽吹き始めました。恵まれた大自然の中、街を一望できる高台に建つ「ザ・ウィンザーホテル洞爺 リゾート&スパ」。ホテルに軒を連ねるレストランのひとつ、ミシュランガイドに認められた名店「ミシェル・ブラストーヤジャポン」に今年の始め、うれしいニュースが飛び込んできました。フランスの料理専門雑誌ル・シェフ(Le Chef)が新たに着手した「2016年世界のベストシェフ100名」のサーベイで、フランスはライオールのミシェル・ブラス氏がトップに選ばれたのです。

Michel Bras 氏「2016年世界のベストシェフ100名」のトップに選ばれる - フランスの料理専門誌 ル・シェフ

今日はそんな、ホテルの顔と言っても過言ではない、ミシェル・ブラスにまつわるおいしいオハナシをご紹介します。

ヘッダー画像:Bras Le Suquet (フランス、ライオール) テーブルセティング
Photo Credit: C. Bousquet

ミシェル・ブラスが愛した洞爺の大地

4. 壮瞥方面より洞爺湖を望む

ミシェル・ブラスの本店はフランス。2001年までは本店のみで営業を行っており、世界で初めての出店先として選ばれたのがザ・ウィンザーホテル洞爺だったのです。

ミシェル・ブラスは調理学校で学んだり、他のレストランで修業をするなどといった経験が一切なく、“自然から料理を創作する異色の料理人”と称されています。彼は彼をはぐくんだフランス・ライオールの地をこよなく愛し、支店を出すにはその風土こそがもっとも大切であると考えていたようです。しかし、どうしてもと請われて遠路はるばる洞爺の地を踏んだブラスは、その大自然に故郷ライオールの面影を感じ、また北海道の食材の秀逸さに感動をおぼえました。その結果、あらゆる面で最高のクオリティを出せる、と洞爺での出店を決意してくれたのです。

唯一無二の一品、ガルグイユー

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ブラスが一目で気に入ったのも頷けるほど、洞爺に溢れる大自然の息吹は食物を豊かに成長へと導きます。特にミシェル・ブラスの代表的な一品「ガルグイユー」には欠かせない、新鮮な野菜が春から秋にかけて、次々と芽吹きます。

この「ガルグイユー」という野菜料理は、オーベルニュ地方の伝統的な郷土料理として伝えられてきました。元は水に浸したジャガイモとオーベルニュ独特のハムを煮込んだ料理でした。しかしブラスは名前の響きや野菜への愛情、そして自然への憧憬から、全く新しい「ガルグイユー」を創りあげたのです。見た目にももちろん美しい彩りを放っていますが、野菜の繊細な佇まいや香り、そして味までも渾然一体とエレガントに混ざりあったこの料理は、まさにミシェル・ブラスそのもの。生活様式のすべてが表現されています。

ブラスは料理に250〜350種類ものハーブや野菜を用います。その中にはもう使われることがなくなった植物もありますし、誰も使ったことがないものも多く含まれています。だからこそ、オリジナリティのある忘れられない味が完成するのでしょう。

洞爺では、フランスで受け継がれてきたガルグイユーの作り方を守りながら、北海道で生まれた百合根や蓮根、ウド、ゴボウなどの様々な食材を使用しています。つまり、洞爺の「ガルグイユー」は本店でも口にすることはできない、ウィンザーだけで味わえる珠玉の一品なのです。

魅惑のチョコレートケーキ、クーラン

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1981年にミシェル・ブラスが創作し、その後世界中に一気に広がったと言われるデザート「クーラン」。今ではレストランの看板メニューですが、完成までに2年の月日を費やしました。完成した日の感動や興奮は言葉には表せない、とブラスも語っているほど想いがぎゅっと込められています。

「クーラン」とは、流れ出るという意味。その名の通り、ビスキュイ生地にナイフを入れると、ほかほかと温かなチョコレートがとろりと流れます。添えられた冷たいアイスクリームと合わせていただくと、口いっぱいに広がるのは幸せな甘さ。

81年に誕生したオリジナルクーランから今に至るまで、様々なヴァリエーションの新作が登場しました。食感や熱さと冷たさのバランス、チョコレートの味がひとつに絡まり合って、ソムリエが厳選したワインとともにデザートを口に運んだ瞬間! 舌だけではなく心も身体も踊り出すような感動を味わえることは間違いありません。どこか官能的、一度食べたらその魅力からは離れられなくなる。そんな体験で、思い出の1ページをぜひ飾ってみてください。

ミシェル・ブラスのナイフ

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ミシェル・ブラスが生まれたのは、ソムリエナイフで有名なライオール村。ライオールでは、ある伝統があります。それは、一生に一本、質の良いナイフを持ち、手入れをしながら、それを生涯大切に使い続けるということ。ミシェル・ブラスのレストランでは、その伝統に倣って、「今日の食事の間だけは、最後まで同じナイフでお楽しみください」と食事の前に説明してくれます。故郷を大切に思うシェフの趣向が伝わってくる、なんとも優しいおもてなしではないでしょうか。洞爺にいながらにして、遠いフランスはライオールの情景がありありと浮かんでくるようです。気候が近い洞爺という地を、出店場所に選んだブラスの気持ちがよく表れている気がします。

たった一本のナイフですが、料理だけでなくそれを食べるための道具までも大切に扱うからこそ、ミシェル・ブラスの創りだす料理には暖かさと美しさが詰まっているのかもしれません。

「2016年世界のベストシェフ100名」のトップに輝く

Bras Le Suquet (フランス、ライオール)店内 Photo Credit: C. Bousquet

Bras Le Suquet (フランス、ライオール)店内
Photo Credit: C. Bousquet
http://www.bras.fr/

決して威圧的なところもなく、一緒にはたらく仲間たちを激するような真似はしない、人間的にもとても穏やかなミシェル・ブラス。冒頭でもお伝えしましたが、今年の1月に発表された2016年世界のベストシェフ100名で見事、1位の座に輝きました。

このサーベイは、2015年10月から2016年1月中旬に実施されたもので、5大陸のミシュラン2ツ星、及び3ツ星のシェフ528名に対し、料理界のプロフェッショナルを代表すると思うベスト5名と、またリストのトップに誰の名前が見たいかという質問に対する投票で選ばれました。毎年発表され、25年以上もの歴史のあるこのサーベイは、料理界の同胞により選ばれる非常に名誉な賞として毎年大きな話題となっています。ちなみに、2015年は、ミシェル・ブラス氏のランキングは6位だったそう。

このビッグニュースに、もちろん洞爺も大喜び。せっかくの受賞のうれしさを、ぜひ皆さまとも分かち合いたいと思っています。毎年11月にはミシェル・ブラスや後継者であるセバスチャン・ブラスを筆頭に、ブラスファミリー一同が来日する特別フェアを開催しています。

今年はさらに、前述のサーベイで1位、2位の栄誉に輝いた「ミシェル・ブラス」並びに「ピエール・ガニェール」の世界トップ2メゾンによるコラボレーション企画の開催が決定。その第一弾として、7月8日(金)・9日(土)の二日間、ミシェル・ブラストーヤジャポンにおいて、特別ディナーコースをお届けします。

このコラボレーションでは新しく洞爺のシェフ・ディレクターに就任したシモーネ・カンタフィオと、ピエール・ガニェールレストラン・シェフ赤坂洋介両名が、「北海道」をテーマに、旬の食材とその魅力を最大限に生かした1つの斬新なコース料理を創りあげます。ガルグイユーやクーランはもちろん、北海道の食材を最大限に活かしつつも新たなアプローチを見せてくれるに違いありません。どうかまたとないこのチャンスを逃しませんように。ご予約、お待ちしております。

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コラボレーションガラディナー詳細はコチラから

ミシェル・ブラスの人となり

〜そして意思を受け継ぐ後継者、セバスチャン・ブラス〜

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左:ミシェル・ブラス、右:セバスチャン・ブラス
Photo Credit: C. BOUSQUET

いかがでしたでしょうか。ミシュランガイドに選出されたレストランとして名前を聞いたことはあれど、なかなか身近に感じにくい場所だったのではないでしょうか。しかしその実はとても素朴な大地の力を信じ、優しさとあたたかな自然と一体化するような料理を提供する、たったひとつのレストランなのです。

最後に、そんな愛情あふれる場所を創造したミシェル・ブラスの人柄について触れてみたいと思います。

オーブラックの自然から料理を学ぶ異色の料理人、ミシェル・ブラス。彼は、その地の生産者をパートナーとして非常に大切にすることでも知られています。これは豊かな素材がブラス・ガストロノミーと出会い、レストランそのものがその地ライオールを代表する存在となるという、ミシェル・ブラスの哲学からくるものです。現在本店を預かる子息のセバスチャン・ブラスにはもちろん、その哲学は、この北海道のミシェル・ブラス トーヤ ジャポンでもしっかり受け継がれています。

もともと、ミシェル・ブラスのお母さんが「おいしい家庭料理」を提供していたレストラン。まだ幼い頃から厨房を手伝っていたブラスは、次第に現在につながる人生を導く原動力を得ていくことになります。そうして妻とともに引き継いだレストランを土台に、さらなる挑戦を重ねてオープンしたのが、ライオールを一望する丘の上に建つ、レストラン「ル・シュケ」。オーブラックに想いを寄せた料理を生み出すその場所は、ミシェル・ブラスの後継者であるセバスチャン・ブラスが育った場所でもあります。料理人としての免状を取った後、セバスチャンは父とともに「ル・シュケ」の開店に尽力します。親子であるからこその信頼やぶつかり合いを経て、きらめくセバスチャンの感性が花開いたのです。故郷を愛し、家族への敬意にあふれる彼は、ミシェル・ブラスの後継者として、今日もすばらしい料理で、感動と幸せに満ちた時間を演出しています。

左から、ミシェル・ブラス、ギョーム・ヴェグルヴィル(洞爺レストラン・マネージャー)、セバスチャン・ブラス、シモーネ・カンタフィオ(洞爺 シェフ・ディレクター)

左から、ミシェル・ブラス、ギョーム・ヴェグルヴィル(洞爺レストラン・マネージャー)、セバスチャン・ブラス、シモーネ・カンタフィオ(洞爺 シェフ・ディレクター)

素顔のブラスはとてもチャーミング。毎日ジョギングに取り組んでおり、なんと11月の来日中にも日課を欠かすことはありません。昨年にはトライアスロンにも出たそうです。
そして現在では、実質的にセバスチャンに現場を任せたミシェル・ブラスは、厨房に興味を持つ孫たちとともに過ごす時間が多くなっているようです。

自然と人を愛し、心を込めた料理を創りだすミシェル・ブラスの妙技。「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」で、一度お楽しみいただければ幸いです。


まだまだ、ミシェル・ブラスのおいしいオハナシは続きます。次回は場所をフランスから洞爺に移して、昨年12月から洞爺に着任しているシェフ・ディレクターにスポットを当ててみたいと思います。これからの「ミシェル・ブラス トーヤジャポン」に是非ご期待ください!

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